【共感障害―若者たちに密かに起こっていること―④】

「ふれあい体験が共感力を創る」

子供達の脳は一体どうやって、ミラーニューロンの取捨選択をしているのだろうか。それは、「体験」である。脳は、体験(入力と出力の組合せ)で回路を置き換える「装置」だからだ。

笑顔に笑顔を返して、心を通わせる。目と目を優しく合わせる、頷き合う。そんな体験が度重なれば、それらの機能は残される。3歳までが最初の勝負だとすると、「それまでにどれだけ共鳴体験があったのか?」が共感力の質と高さを決めるはずである。

すなわち、母親をはじめとする保育者と、どれだけ関わったか、によって、残されるミラーニューロン反応の度合いが決まる。昔から、大人達が赤ちゃんにしてきた「いないいないばあ」等の手遊びは、ミラーニューロンを適正化する大事なエクササイズだったと言えよう。

黒川伊保子(脳科学・人工知能研究者)

肌と肌を触れ合う、目の前の相手の表情を読み取る。そういった何でもない様な日々の行為が、実は人間力の基礎となる重要なトレーニングになっていたわけですね。それを考えると、このコロナ禍によるマスクの装着は幼い子供達のミラーニューロン育成に相当なダメージを与えているのではないかと思えてきます。

続く

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