認識力の欠如





 
「面接と検査から浮かび上がってきた実態」
 
医療少年院では、新しく入ってきた少年に、毎回に時間ほどかけて面接を行う。なぜ非行をやったのか、被害者に対してどう思っているか、といった事をメインに聞く事が多いが、実はそういった事を聞いても更生にはあまり役に立たない。彼らの幼少期からの調書を読んでみると、少年院に入るまでに、これでもか、これでもかというくらい非行を繰り返している。
 
少年院に赴任したての頃は、凶暴な連中ばかりでいきなり殴られるのではないか、といつも身構えていました。しかし、実際は人懐っこくて、どうしてこんな子が?と思える子もいた。
 
一番ショックだったのが、
 
・簡単な足し算や引き算が出来ない
・漢字が読めない
・簡単な図形を写せない
・短い文章すら復唱出来ない
 
といった少年が大勢いた事でした。
「見る力、聞く力、見えないものを想像する力」がとても弱く、そのせいで勉強が苦手というだけでなく、話を聞き間違えたり、周りの状況が読めず対人関係で失敗したり、イジメに遭ったりしていたのです。
そして、それが非行の原因にもなっている事を知ったのです。
 
その他、高校生なのに九九を知らない、不器用で力加減が出来ない、日本地図を出して「自分の住んでいる所はどこ?」と聞いても分からない、といった事もあった。
 
北海道は大体みんな知っているが、九州を「外国です。中国です」と答えた少年もいる。酷くなると日本地図を見せても、「これは何の図形ですか?見た事ないです」という少年もいる。
 
その様な彼らに「苦手な事は?」と聞くと、みんな口を揃えて「勉強」「人と話すこと」と答えました。

宮口幸治

これだけ認識する力や学習する力が欠けていたら、社会のルールに順応出来ないやろうし、生きているのがしんどいと思う。先天性のものもあるかもしれないけど、大部分は生育歴というか、環境に恵まれなかったりして、学ぶべき時期にしっかり学べなかったりした事がほとんどなんじゃないかな?と思います。

戦後のみんなが貧しい時代じゃないんやから、「運が悪かった」で済まさない様なシステムを今ならちゃんと作れるはずやと思うんですよね。

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