ブランドとは何か?

ブランドとか、ブランディングとか、人は簡単に口にするけれど、それが意味する所を本当に分かっているのか?

「ブランド」とは、人の心の中でしか育たないもの。とても考えさせられました。

自分と言う人間、あるいは自分の仕事。それをブランドとして育てられるか?は、自分の心の中ではなくて、相手の心の中にそれを「ブランド」と感じ、認識してもらうためのある一定の期間の努力が必要なんですよね。

ナガオカケンメイさんの著書より抜粋して紹介します。

【ブランドの持つ仕組み】

昔っから「ブランド」の持つ「仕組み」について興味がありました。ブランドとは、モノを指す様な感覚がありますが、そう簡単に作れるものではありません。僕の中では「オリジナル」という言葉と同じ位難しい。

ブランドとは、「お客さんの心の中」でしか作る事の出来ない「価値」だと思います。それをビジネスショーあたりを覗くと、「私達のブランド」と、連発しています。また、「ブランディング」という言葉に潜む意味も相当難しいと思います。

僕の中の「ブランディング」のイメージはこうです。

それは人の心の中にある器。直接には触る事は出来ない。この器を持った人がある場所に立ち入る。その人はその場所から受ける全ての中で、「これはいい」と感じたものをその器の中に少しずつ入れていく。

それは「お裾分け」する事も出来る。その人と仲のよい人に、器の中に注がれたものを「一杯、どうですか、先日、美味しい飲み物を仕入れてきました」と、まるで美味しい地酒でも酌み交わす様に。人から人へ「その人の感じた言葉」と共に注がれる。

その人は、それをゆっくりと飲み、「これだったら僕も欲しい」と、その場所を教えて貰う。しかし、その場所は屋外で、雨や嵐の日もある。それをいつも、一定の環境で来るか来ないか分からない人のために整える。

また、その人はその美味しい飲み物を仕入れに来る。

ある日、その素晴らしい場所に名前がある事を知る。そして、その場所の名前を綴ったものがマークになっている事も知る。

その人はその日から、そのマークを目にしただけで、その上質なものを体中で思い出す事が出来た。

「ブランド」とは、当たり前ですが、マークの事ではありません。そして、「ブランド」とは「ブランドを作る」という意識がないと、絶対に作れない。そう思うのです。

「ブランドを作る」とは、下世話な感じで「何かのブランドを目指し作る行為」ではありません。「自分のやっている事をブランド」だと意識してそれを作り込む意識。

きっと、そんな意識を持って、数年。数十年、それを繰り返す事で、お客さんの側が認めた時に、それはめでたく「ブランド」となるんでしょうね。

「ブランド」の完成はお客さんの心の中でしか確認出来ず、自分達の意識が上質な接客を目指したところで、到底及びません。

店員のあくび、ムダ口、窓の汚れ、姿勢、配送車の汚れ、グラスの汚れ、接客の語尾、お釣りの渡し方、セレクトされた雑誌の種類。

些細な部分のこだわりでも、オーラとなって絶対にお客さんに届きます。

それは、わずかなすき間からこぼれ出した水の様に、すぐに分かってしまうのです。

ブランドを築くためには、お客さんとの接触は避けられない。100人のお客さんに100種類バラバラの対応をし、100件の満足を目指し、数えきれない「見えないこだわり」がそのサービスに込められた時、単なる行為やグッズは「ブランド」として輝き始めます。

ナガオカケンメイ

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