人は 三歩進んで二歩下がる生き物①
人間は、成長・進歩の道を一直線には進めない生き物である。それは脳の特性にあったんですね。興味深い文章を読んだので、抜粋して紹介したいと思います。
【自分の「言い訳」を知る】
意志力のチャレンジにおける失敗や成功について、あなたが自分自身や周りの人に「どんな言い訳や説明をしているか」を観察してみましょう。
意志力のチャレンジで成功すると、「よくやった」と自分をほめ、誘惑に負けたり、やるべき事を先延ばしにしたりすると、「ダメだった」と思っていますか?
「よい」事をしたのをいい事に、今度は「悪い」事をしても構わないと思ってしまう事がありますか?それはたわいもないご褒美でしょうか?それとも大事な目標への努力を損なってしまう様なものでしょうか?
【脳が勝手に“やるべき目標”を切り替える】
人は「進歩」が大好きで、目標に向かって進むのは最高の気分になる。つい得意になり、自分を褒めたくなる。
大抵の人は、目標に向かって進歩すれば、それを励みにさらなる高みを目指すはずだと思っているが、私達は少しでも進歩すると、それをいい事についサボりがちになる事を、心理学者達はよく知っている。
シカゴ大学のアイェレット・フィッシュバッハとイエール大学のラヴィ・ダールは、人は目標に向かって前進すると、逆に「目標から遠ざかる様な行動をしたくなる」という研究結果を示した。
教授達はある実験でダイエットが順調に進んでいる参加者達と面会し、理想体重にどれだけ近付いたかを確認した。参加者は激励賞として、リンゴかチョコレートバーを貰える。
すると、進歩を自覚して気分が良くなった参加者の85%はリンゴではなくチョコバーを選んだ。
これに対し、進歩の状況を確認しなかった参加者の場合、チョコバーを選んだのは58%に過ぎなかった。
別の実験では、学業の面においても同様の結果が見られた。試験勉強を何時間行ったかを確認した学生は気分が良くなり、その晩は友達と飲みに行ってしまう確率が高かった。
頑張って進歩したのはいいが、そのせいで返って気が緩み、「相反する二人の自己のせめぎ合い」が始まってしまうのだ。
意志力の問題には、二つの相反する欲求が絡んでくる。
一人の自己は、「長期的な利益(減量など)」を考えるが、
もう一人の自己は、「目先の満足(チョコレート!)」を望む。
「スタンフォードの自分を変える教室」
ケリー・マクゴニガル(スタンフォード大学の心理学者・専門は健康心理学)著 より抜粋。
(続く)