【自分が溶けていく感覚】
ここでおっしゃっている感覚、人に指導している時にも感じる事がありますし、自分の稽古やトレーニングの際にも感じますね。
「自分=我・エゴの方」が消え去って、相手や集合的無意識の世界にちょっと同調している様な感覚。真我と言われる部分に入っている様な感じ。
相手の奥深い意識と同調して、自分が思う事・伝えたい事が、相手のスーッと伝わる様な感覚。
稽古やトレーニング中は、自分の潜在意識を超えて、その奥にある集合的無意識に入った様な感覚。これは瞑想状態とも重なると思うけど、没頭とか夢中、無心といった感じのもの。
時間の感覚が一瞬無くなって、音も聞こえているのに、聞こえない不思議な感じ。
●致知出版社の人間力メルマガより転載
2022.10.15
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この10月22日から自由劇場にて上演される舞台
『アンドロマック』で話題を集める俳優の野村玲子さん。
野村さんは、劇団四季『エビータ』や『オペラ座の怪人』『オンディーヌ』など、ミュージカルからストレートプレイ(台詞劇)、古典・現代劇に至るまで、俳優として数々のヒロインや主要な役を演じこられました。
その野村さんが舞台で経験した演劇の神様の「知恵の蔵」の扉が開いた瞬間とは——。
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(野村)
……実際、舞台に立つと、その日のお客様の熱気や舞台への期待度など、目には見えないエネルギーのようなものが伝わってくるんです。
まさに、高校生の時に客席にいて感じたものが、それだったのだと思います。
舞台と客席のエネルギーの交流とでもいうのでしょうか。
ただ、あくまでも自分の肌感覚ですから、客観的に説明がつくものではありませんし、意識してどうこうできることでもありません。そこが舞台の面白いところなのです。
でも、先ほどの「居て、捨てて、語る」に通じますが、
「俳優の役割は本と言葉の感動を
自分の肉体を通してお客様にストレートにお伝えする」
ということは常に意識しています。
『夢から醒めた夢』というミュージカルに夢を配って歩く配達人が出てきますけれども、俳優も「感動の配達人」なんだという意識で舞台に立っています。
(——ああ、俳優は感動の配達人。)
(野村)
浅利は「役の前で透明になれ」ともよく言っていました。
京セラ創業者の稲盛和夫さんも、世のため人のためという利他の思いで真摯に努力を続けていれば、「知恵の蔵」の扉が開いて、
叡智を授けてくれるという話をされていますが、これは浅利の言っていたことと通じるものがあると思います。
「自分が」という自己への執着を捨てて、人々に感動をお届けしたいという純粋な思いで努力を続けていれば、演劇の神様の「知恵の蔵」がパッと開く瞬間が訪れる。
私も演劇人生で二回くらいそうした体験をしました。
その時はもう本当に役に没頭し切っていて、舞台も客席も自分自身も真空になるといいますか、自分がさーっと溶けていく感覚がありました。