ゾーンに入る手立て
「ゾーン」という言葉が一般にも知られる様になってきましたが、昔から宗教や武道などの世界ではこういった領域の研究が為されてきていましたね。
ヨガとかもそうですし、武道の口伝などはこういった分野の内容が多い。東洋系のものでは大体、身体操作や呼吸法などを使ってこの領域へ入る手法が確立されています。この本ではスポーツ的と言うか、西洋的な勘上げ方でのアプローチが紹介されています。
いか抜粋して紹介します。
【潜在能力はゾーン領域を活用する】
「病は気から」と言う言葉もある様に、心は体に大きな影響を与える我、体も心に影響を与えている。筋肉が筋緊張を起こしている時は、心も緊張状態にあり、筋肉がリラックスしていれば心もリラックス状態にあるという事だ。
スポーツの世界では、適度の緊張と適度のリラックスとがミックスした心の状態をゾーン領域と呼んでいる。スポーツ選手はこのゾーン領域に入る事で、フルに潜在能力を発揮しているのだ。
具体的に言えば、「投手が投げたボールがコマ送りの様なスピードに見えた」「アーチェリーで狙った的が少しずつ大きくなり、最後はどう矢を射っても中心に当たると感じた」「スピードスケートのリンクに自分が滑るべきラインが光って見えた」等、常識では考えられない様な現象が起こる。
もし私達が机に向かう時に、すんなりこの領域に入る事が出来れば、勉強の能率も最大限にアップするだろう。
ここで話を戻して筋肉の状態と心の状態の関係を見ていこう。
勉強時にゾーン領域にいるという事は、筋肉も心もリラックス状態にあるという事だ。リラックスという定義は人により違うかもしれないが、数値として見ていくと、過度の緊張時には14~30ヘルツの波、ゾーン領域時には8~13ヘルツの波、適度のリラックス時には4~7ヘルツの波があり、それぞれベータ波、アルファ波、シータ波と呼んでいる。記憶力が高まるのはアルファ波の時で、眠気が襲って来る時はシータ波の状態になる。
一方、スポーツをしている時は、筋肉は過度の緊張状態にある。当然、筋緊張が大きければ心の緊張も高くなる。脳はで言えば、ベータ派の状態であり、アドレナリンが大量に分泌されて興奮度も高くなっている。勉強する環境において、過度の緊張状態は時間の無駄になりかねない。
ゾーン領域は次の様な単純な式で表される。
「筋肉の過度の緊張(スポーツ時)+筋肉の過度のリラックス(イスに座っている時)÷2」
となり、
脳波も、
「(ベータ波14ヘルツ+シータ波4ヘルツ)÷3=アルファ波9ヘルツ」となる。
何が言いたいのかというと、スポーツで過度の緊張を体験した後に、イスに座って過度のリラックス体験をする事で、ゾーン領域の適度な緊張、適度なリラックスという心理状態が作り出せるのだ。
ここで注意が必要なのは、「スポーツをした後、すぐに勉強に取り掛かる」という点。
スポーツをしても、帰宅後に昼寝をしたり、遊んだりした後に机に向かったのでは、この効果は低下してしまう。
「スポーツ→勉強→遊ぶ」という習慣を作り上げる事で、効率的かつ最大の効果を得られる勉強法が確立出来るのだ。