「頭の良さ」と「身体感覚」

子供の頃に身に付けた身体感覚って凄く大事ですよね。

根底にあるものがその人の人生を決める部分は大きいと思うし、親や周囲の大人が根っこを作るための環境や教育を与えてあげるのは凄く重要な事だと思います。

いい記事[高層マンション育ちの子供が「伸びない」理由]を読んだので、紹介しておきます。

西村先生は近著『頭のいい子の育て方』(アスコム)で、「タワーマンションに住んでいる子供は才能が開花しない」とおっしゃっていますが、これは最近気づかれたことなんですか。

西村:そうでもないです。この10年ほど、ずっと感じていることです。

具体的には、どのようなことから気づかれたんですか。

西村:ある子供と理科の話をしていまして、「イネって単子葉植物かな?」と聞いたら、「分からない」と言うんです。「じゃあイネを見たことないの?」と聞くと、「見たことない」と。

都会に住んでいて、田んぼが周りになければ、普通はあまり見たことがないのでは。

西村:ところが、低層のマンションや一戸建てに住んでいるお子さんで、見たことないという子はいなかったんですよ。タワーマンションに住んでいるその子も家族旅行はよく行っていますから、田園風景は見ているはずなんです。なのにそれが意識されていない。

自分とは遠い世界になっちゃってるんでしょうか。

西村:あくまでも、上の方から見る1つの景色として見ているようです。普段の生活環境が、すぐ外に出て何かに触るということができないし、風のそよぎも感じられない、音も聞こえない。五感への刺激が圧倒的に少ないために、身体感覚が自然に鍛えられるべき時期に十分鍛えられないというのが大きいと思います。

 この小さい頃の身体感覚というのが、物事をはっきり理解するという感覚や、学習へのモチベーション、行動力にも深く結びついてくるんです。

高層マンション住まいが身体感覚の発達に影響があるというのは、幼少期限定の話なんでしょうか。

西村:そうですね。中学2、3年生以降はあまり関係ないような気がします。

 学力の平均値で見れば、恐らく高層マンション住まいの子供の方が、そうでない子供よりも高いように思うんです。高層マンションの住民は一般的傾向として収入が高く、教育にもそれだけ費用がかけられるでしょうから。ただ、「こいつはすごいな」というような優秀な子が高層マンションにはほとんどいないんです。

 小さい頃の身体感覚って、あまりにもたくさんあり過ぎて説明が難しいんですが、無意識にある程度勝手に身につくものと、教わって真似をして身につくものがあると思うんですね。

 例えば昔やった缶蹴り。上級生が空き缶を正面から蹴るふりをしながら横に蹴る。そうすると確かに逃げやすい。なるほど、あっちに蹴ればいいんだと真似をして上手になりますよね。蹴る瞬間の足の角度をこうすればあっちに飛んでいきそうだと予想してやってみる。うまくいくことも失敗することもある。うまくいった時はこうだったからこれでやってみようという具合に学習していったと思うんですね。

 缶蹴りに限らず、生活のいろいろな場面で身につくべき身体感覚が乏しい場合、勉強して学力を上げていく過程ではっきり限界みたいなものがありますね

 例えばお母さんと一緒にバーゲンセールに行って、3割引きだから何円かなという経験をしていない子は、数に対しての感覚が鈍く、複雑な数字の操作がやりにくいんです。

 普段は4万円の商品が1万2000円になっていた。その時のお母さんの真剣な顔つきだとか(笑)、相手の表情がどう変化したかも子供は感じ取ってると思うんです。

7割安くなってるとお母さんがこんなに喜んでる。7割引きってすごく安くなってることなんだと。そういう生活経験や実感なしに、いきなり4万円の70パーセント引きはいくらでしょうという問題を解いても、頭の中だけの話になってしまう。

西村:例えば小学6年生でも、算数の問題を解いてお父さんの年齢を求めて「150歳」と答えて平気な子もいる。「お前の父ちゃん、150まで生きるのか?」と聞かれて、はたと気づく、みたいな。

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なるほど。例えば算数の文章題なども、自分の身体感覚に置き換えながら読もうとするとより集中できるというか、入り込みやすいんでしょうね。文章題は国語力だとよく言われますけど、背景にあるのはこういう身体感覚だと。

西村:そうですね。言葉にしろ数字にしろ、何らかの過去の自分の経験とつながってるはずなんですね。そういう経験を身体感覚として蓄えている子とそうでない子では理解の度合いが違います。入ってきた知識が過去の記憶とつながるか、全くつながらないで離れ小島状態で置き去りにされてしまうかですね。

 ああなるほどな、と膝を打つ感覚というのは身体感覚と結びついていて、それが勉強するモチベーションにもつながりますし、理解の深さや応用力にもつながってくるんですね。

確かに、ひらめきというのは何かと何かがつながった、という感覚がありますね。

西村:数に対しての身体感覚のほかに、広がりとか空間把握という身体感覚もあると思います。例えば大人でいうと、車庫入れや縦列駐車が下手な人がいますね。で、縦列駐車が苦手な人はずっと苦手です。車の横を何度でもこする。だから、傷のある車のそばへは近寄るなと言いますよね。

苦手意識が強いと、それをやりたくないからいつまでも上達しないということでしょうね。

西村:いや、そうじゃないんです。たとえ練習してもいつまでも上手になりません。それは場所に関する身体感覚がないからでしょう。ハンドルを握っている自分は上から俯瞰するとどのあたりにいるか、という感覚が持てないんです。

 球技が得意な人というのは車庫入れもうまいんですね。走りながら、動く相手に向かってボールを投げる。どのタイミングでどの方向にどれぐらいのスピードで投げればうまくいくか。動きから先を予想する能力と、全体を俯瞰する能力。これは車庫入れと同じですね。

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