【不自然な暮らし】
今の人類は、自分達「人間という動物が自然から生み出されたものである」という事を忘れ過ぎな気がします。余りにも不自然な衛生観念を持ち、人間が勝手に作った人工のルールにしばられて、もはやバーチャルな世界で生きているとしか思えなくなる時があります。
行き過ぎた衛生観念や人工的なルールは、不幸しか生まないのでは?と思います。
以下、脳科学・人工知能研究者の黒川伊保子さんの文章を抜粋して紹介します。
【除菌生活の功罪】
先日NHKの番組で「子供がコロナに怯えて、散歩にも行かなくなってしまった」と発言した主婦の方がいらした。この方は、「緊急事態宣言が解除されても、当然、除菌は徹底している」と語った。娘が学校から帰ったら、手洗い、うがいはもとより、ランドセルから鉛筆一本一本まで全て消毒するという徹底ぶり。
これを続けていたら、娘が「死にたくない」と怯え、散歩にも行けなくなってしまった。ひたすら手洗いを続けてしまう子供のケースも報告されていた。
私だって、一人も新型コロナウイルスで死んで欲しくなんかない。
けれど、こんな生活を続けていたら、子供達はストレスで追い詰められてしまう。本来かかっておくべき病気にもかかれない。
【おたふくかぜを貰いに行く】
息子が幼い時、かかりつけの小児科医に、子供は12歳までに100回風邪をひき、様々な免疫を手に入れる、と教わった。
この先生は、おたふくかぜのワクチンも奨めないとおっしゃった。12歳までにかかった方が、免疫が盤石だから。
「今のワクチンは、下手すれば12~13年しか持たない。男の子は、思春期以降にかかると睾丸炎を併発し、無精子症になる事があるので、かえって仇になる。保育園で自然にかかってらっしゃい。10歳までにかからなかったら、ワクチ打ってあげる」と。
そう言えば、昔は、誰かがおたふくかぜにかかると、未罹患の男の子は「おたふくかぜを貰ってらっしゃい」と言われて、その家に遊びに行ったものである。
【棲み分けもありでは?】
新型コロナウイルスを、おたふくかぜと一緒には出来ないが、そろそろ、立ち止まって考えてみてもいいのでは。
自然に人と触れ合って、自然に手にする免疫抗体がある。無菌空間で育つと、生物免疫システムが正常に働かないとも言われる。攻撃すべき悪者がある程度存在しないと、生体は攻撃の仕方をマスター出来ないのである。
新型コロナウイルスを恐れるばかりに、人類無菌化生活。それでいいのか・・・・?
本来なら喜ぶべき子供達の「無症状の自然感染」を、まるで邪悪な事の様に戒め、子供達を追い詰めていく社会。私達は、そろそろ、どこまでやるべきか考慮しなければいけないのではないだろうか。
例えば、高齢者など感染を心配する人が暮らす「徹底除菌地区」を設けて、それ以外の地域では、もう少し大らかに暮らすとか。何とか工夫が出来ないものだろうか。
黒川伊保子(脳科学・人工知能研究者)