人は一人でも生きていけるのか?①

時々、読み返す本「友だち幻想」から自分の頭の中の整理も兼ねて、抜粋して紹介します。
スポーツやってる人達も、トレーニングや体調管理に悩んでいるよりも、色々話し込むと本当に困っているのはコーチなどの指導者やチームメイトとの人間関係だったりすることが多いです。

それがスッキリしないから、トレーニングに集中し切れなかったり。先日、そういう周囲の人との関係に悩んで、練習に行くのが精神的にキツいと漏らす方は結構多いんですよね。人との距離感、人間関係の捉え方が上手いか下手かは、スポーツの上達や人生にまで影響を及ぼしてしまう。


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「友だち幻想」 菅野仁(かんの ひとし)


はじめに ~「友人重視思考」の日本の高校生~
日本、アメリカ、韓国の高校生に「若い内にぜひやっておきたい事は何ですか」という質問をしたところ、日本の高校生は「一生付き合える友人を得たい」、「色々な人と付き合って人間関係を豊かにしておきたい」と答えるヒトが高い割合になったという。
他の国と比べて、「友人重視思考」の傾向が突出して高い。


でも、その一方で現実には友達を巡る色々な悩みや問題を抱えた人が多い。いじめや引きこもりが社会問題として注目を浴びてから、時間も経っている。
日本の若者は、人と人の繋がりをとても重視していると同時に、人との繋がりをそう築き上げたらいいのかに悩み、自信を持てなくなっているのではないか。
こうした問題を解きほぐして考え直すためには、これまで辺り前だと思っていた「人と人の繋がり」の常識を、根本から見直してみる必要があるのではないかと思う。

【一人でも生きていける社会だからこそ、「繋がり」が難しい】


「人は一人では生きていけない」、これは現代においてどこまで本当なのか。
年齢や住む場所などによって、かなり違うはずだが、この点について考えてみる。
かつての日本には「ムラ社会」という言葉で表現される様な地域共同体があった。これが確固として存在した昔、昭和40年位までであれば、「一人では生きていけない」は厳然とした事実だった。食料や衣料をはじめ、生活に必要な物資を調達するにも、仕事に就くにも、色々な人の手を借りる必要があったから。だから、「村八分」というペナルティは、わりと最近まで死活問題だった。


ところが近代社会になって、極端な話お金さえあれば、生きるために必要なサービスはだいたい享受できる様になってきた。一人で生きていても、昔の様に困る事はなくなってきた。「誰とも付き合わず、一人で生きる」事も選択可能になってきた。ある意味で、「人は一人では生きていけない」というこれまでの前提が成立しない状況が現実には生じている。

この状況を前にして私が言いたいのは、「だから、一人でも生きていけるんだよ」という事ではない。

「一人でも生きていける社会だから、人と繋がる事が昔より複雑で難しいのは当たり前だし、人との繋がりが本当の意味で大切になってきている」という事が言いたいのです。

繋がりの問題は、こうした観点から考え直した方が良さそうです。

今の私達は、お金さえあれば一人でも生きていける社会に生きています。

でも、普通の人間の直感として「そうは言っても、一人は寂しいな」という感覚がありますね。

続く

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