大切なのは『時間』ではなく『とき』
【「大切なのは『時間』ではなく『とき』」】
すっごい感動しました!
何か、写真を見てるだけでも凄くステキな感じがする。
今時、流行らない「弟子入り」とかするって凄くええな、この少年。しかも小4で弟子入りってよっぽど時計が好きなんでしょうね。
ジブリの映画、名前忘れたけどバイオリン職人を目指す少年を思い出しました。おじいさんの師匠と中学生の少年って確か同じ様な感じでしたよね?
師匠のこの言葉がまたほんまにカッコ良くて凄い。
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「昂輝の頭脳はね、時計職人でおさまる頭脳ではないと言っている。ただ今時計に一生懸命になっているから、私は遊び事ではなしに本腰で教えてやろうと思っているだけの話でね」
今はスポーツでも何でも、浅い人生観・人間観で試合ですぐに活躍させたがる指導者が多いけど、この方は弟子の本当の成長と幸せ、そして他者や社会への貢献を願ってはりますね。
弟子を自分の自己実現のための「道具」にしていない。そういう人って今は本当に居ない、と言ってもいい程。
「『時間』がわしの収入の源、『時間』を計る時計が。けど人間は『とき』が大切。一生終わるときに大切なことは『時間』を抜きにした『とき』…」
「とき」と「時間」は違う。
現代人は何かというと「タイパ」とか言って効率ばかりを重視すするけれど、人間の魂を成長させるのに必要なのは「とき」なんですよね。

以下、全文を転載。
「三度の飯より好き」時計職人目指す12歳 高知の老舗時計店に弟子入り 夢に向かって刻む “とき”
12歳の中学1年生 老舗時計店に弟子入りしたわけ
岡山県倉敷市に住む中学1年生、夢は「時計職人」です。彼はいま、高知県の老舗時計店に通い、修理の技術を学んでいます。
思春期で悩むこともありますが、周囲の応援を背に、夢に向かってかけがえのない「とき」を刻んでいます。
修理に挑むのは、100年以上前の時計。師匠とともに故障の原因を探ります。
(中村時計店 中村昭弘さん)
「3番だけやね。今ここが一番減っているね」
(小幡昂輝さん)
「あーひどいひどい。これは一番ひどい。穴が広がっています。ホゾという部分ですね」
歯車を固定するホゾ。長年の使用でホゾの穴が広がり、歯車の動きが悪くなっていました。
(小幡昂輝さん)
「修理し終わったとき、達成感をすごく感じるんですよ。三度の飯より時計、勉強より時計」
「弟子にするのに躊躇なし」小4にして門をたたいた小幡さん
高知県南国市の中村時計店。
毎週日曜日、倉敷市から時計の修理の技術を学びに来ているのは、中学1年生の小幡昂輝さんです。
(中村時計店 中村昭弘さん)
「弟子にするのに躊躇はなかったね。意欲があったから。小学校4年から時計を習いたいというのは、日本中でこの子一人だと思う」
(中学1年生 小幡昂輝さん(12))
「先生みたいな、技術的にもばっちりな時計職人になりたいと思います」
きっかけは “動かないおじいさんの古時計”「生きた古い化石かなと」
なぜ昂輝さんは時計職人を目指すようになったのか。そのきっかけになった「もの」が倉敷市の自宅にありました。
(小幡昂輝さん)
「130~140年前の時計になります。おじいちゃんの実家で眠っていました」
小学4年生の時に祖父からもらった壊れた古時計(【画像参照】)。「見たことがない形」「味のある雰囲気」に興味が湧き、当時、インターネットで直し方を調べたといいます。
(小幡昂輝さん)
「生きた化石かなって思いました。動く姿をとっても見たかったんですよ。ゼンマイも巻けて鳴るんですよ。めっちゃうれしかったですよ。うれしい以外の言葉は出ませんでした」
その後「研究材料にしたい」とお小遣いなどを使って中古の時計を購入するようになりました。現在は自宅に100台以上あります。
その一方で、動画サイトを通じて高知にある中村時計店を知り、弟子入りしました。
同級生に打ち明けられなかった夢 その夢を支える父
夢に向かって邁進する昴輝さんですが、実は学校の友だちにはその夢を打ち明けられずにいました。
(小幡昂輝さん)
「夢のことは話していないですね。恥ずかしいですよね。ちょっと周りと違うので、変かなって思ったりしますね」
他人と違うことへの戸惑い。複雑な心境を知りながらも夢を大切にしてほしいと、毎週、約6時間かけて高知への送り迎えをするのは、父親の正雄さんです。
(父親 正雄さん(49))
「子どもが何かやりたいっていうのを、できるだけやらせてあげるのは親しかいない」
師匠が弟子に刻む思い「大切なのは『時間』ではなく『とき』」
師匠の中村さんは昂輝さんの夢が今後、変わってもいいと考えています。
(中村時計店 中村昭弘さん)
「昂輝の頭脳はね、時計職人でおさまる頭脳ではないと言っている。ただ今時計に一生懸命になっているから、私は遊び事ではなしに本腰で教えてやろうと思っているだけの話でね」
「『時間』がわしの収入の源、『時間』を計る時計が。けど人間は『とき』が大切。一生終わるときに大切なことは『時間』を抜きにした『とき』…」
そして、「とき」は動き出す
今、この「とき」を一生懸命生きてほしい。中村さんがこの日提案したのは、客の時計の修理です。
(修理を依頼した客)
「おじいの形見よ」
(小幡昂輝さん(12))
「お客さんの時計を、ぜんぶ自分で修理するのは初めてです。ちょっと緊張しています」
(中村時計店 中村昭弘さん)
「油の引き過ぎ。言われた通りにする」
「上等やね」
開始から4時間、客に時計を手渡します。
(修理を依頼した客)
「おー、立派に動くじゃないの。飾らんといかんわ。応接間かな」
「感心。こんな僕ちゃんおらんですよ。満点」
昂輝さんもどこか成長したように見えました。
(小幡昂輝さん(12)倉敷市在住)
「いやあすごくうれしいです。そんな喜んで頂けるんだったらめちゃめちゃ嬉しいです。人に喜ばれるっていうんですかね、そういう時計職人になりたいなと思いました」
周囲の大人たちの応援があるからこそ、近づける子どもの夢です。
悩むことはあるけれど、時計職人を目指す少年は今も、夢に向かってかけがえのない「とき」を刻んでいます。