体・心・魂の三つの内、最後の魂の部分は、人間が自分の意志では磨きにくいといいますか、外に魂を取り出す事は出来ないので、直接的には磨けません。
ですから、肉体と心を通して磨いていこうという事になります。
おそらく、「でも心も取り出す事は出来ないよね」と思われたと思うのですが、そこで先ほど仮定した「心=脳」という捉え方が生きてきます。
勿論、脳も直接には操作出来ないのですが、脳は肉体を動かしたり、刺激を与える事によって、脳波や脳内ホルモンのバランス、そして脳内のニューロンや全身の神経を流れる電気の流れの操作が可能です。
意識的に体を使う事によって、「脳内の地図を”自分の思う様に”作り変えていける」のです。
こう文章で書くと難しく感じられるかもしれませんが、幼い子供がお箸の使い方を覚えたり、自転車に乗れる様になったりするのが、ここでいう「地図の開発」や地図の書き換え」になります。
そう考えると、誰でも簡単に出来るのが分かりますよね。
車で今まで一度も行った事がない所に、ナビや地図を見て行く時と全く同じです。
自分の行ってみたい場所の地図を選び、その通りにゆっくりと地図の通りに進んで道を覚えていく。ある程度 道を覚えたら地図を見ずに、自分の記憶を頼りにゆっくりと道を辿る。
そして、それを何度か繰り返せば、全く考えなくても、何も意識しなくても、体が勝手にハンドルを動かして目的地へ辿り着いてくれます。
これが「脳内のプログラム=脳内回路の設定」です。
自動ナビゲーションシステムですね。
「心と人が呼んでいるもの」とは、つまりこの脳内回路の「感情面における反応(道筋)」に過ぎません。
自転車や車に乗るのと同じなのです。
スポーツの動きや技が出来る様になるのも同じ。仕事で何か道具が使える様になるのも同じです。
欧米の人が日本に来て、「お箸の使い方を覚える」としたら、それは脳内の回路を開発しているのであって、それは「“お箸を使えるという一つの性格”を作っている」という様に捉えるわけですね。
もう少し分かりやすく言うとしたら、〈「お箸を使えない人」→「お箸を使える人」に設定を書き換える〉という感じでしょうか。
こう考えると、我々の日常生活というものは、いやそれどころか人生というものは、「毎日、常に”新しい性格”を作り続けている」と言っても過言ではありません。
言いかえるなら、自分が認識している「自分に対するイメージ・自分像」を毎日更新していると言えるのではないかと思います。
俳優さんが、新しいドラマでの新しい役を、自分なりにイメージし演じていく作業みたいなものでしょうか。誰もが、家庭・学校や職場などで少しずつ異なったパーソナリティを表現していると思いますが、それも役者さんに例えるなら、色々な役をイメージして演じ分ける様な感じかもしれませんね。

毎日、誰もが、家庭、学校あるいは職場、ご近所付き合いの中で、「色々な役割・性格・立ち居振る舞い」を使い分けている。
それほどの「役づくりのベテラン」のはずなのに、なぜ、いざ「自分を作り変える」となると、難しく感じてしまうのでしょう。人によっては、「自分の性格を変えるなんて絶対に無理!」と怖気づいてしまうことさえあります。
でもそれは、ただ単に「その方法を知らない」だけ。
ただ、それだけなのです。
だって、一度も行った事がない、全く予備知識のない遠い所へ、一人で「スマホも持たず、町で地図を見てもいけない。地元の人に道を聞いてもいけない」というルールで行かされて、無事にたどり着けますか?
それは無茶ですよね。日本国内ならまだしも、外国なら怖ろしいと思います。その土地の人達の民族性や地域の治安さえ分からないのですから。
でも、前もって予習をし、その地域の歴史や文化、民族性や習慣をしっかりと教わって、地図とスマホも持っていれば随分と違うはずです。
「自分という人間を作り変える」という作業もそれと同じ。
正しい知識と正しいトレーニング、それさえあれば、後は自転車やお箸を操れる様になるのと全く同じ。
なぜなら、脳の中で行っている事は全く同じだからです。
だって「脳の中の電気の通り道を作るだけ」なんですよ。
カンタンですよね、
「たったそれだけ」なんですから。