先を占うから、弱くなる

人類は地球上のあらゆる動物の中で、一応一番賢い動物のはずだけれど、でもその頭の良さ故に、自分を不幸にしたりもする。自殺もするし、同じ種同士で殺し合い、戦争もする。

協力し合って仲良く暮らせばいい、「奪えば足りぬ、分け合えば余る」と理屈では分かっていても、それが出来ずにもっともっとと欲が暴走し、奪い合い、殺し合う。結果として全体が不幸になるのに、なぜそうなってしまうのか?というと、単純にいうと「未来を憂う、将来を考えられる」知能を持っているからなのだと思う。

これってスポーツや勉強で、本番に緊張してしまうのも同じだし、人間が自分に与えられた力を思う存分発揮する上で一番邪魔をしてしまう部分。甲野義紀さんの文章を読んで考えさせられたところがあったので、少し引用してみたいと思います。

【「火事場のバカ力」を引き出すには】
普通は「コンディションを整えて」と言うが、桜井章一会長(雀鬼会)の場合、「食べない、飲まない、寝ない」という命にとって危機的な状況に自らを追い込む事で凄まじい能力が引き出された。
そうした火事場の力を引き出すのに大事なものは何か?それは、「先を占わない気持ち」だ。
こうしたらこうだろうとか、ああだろうとか、そうした事を思わない。火事場でお婆さんが大きなタンスを担ぎ上げて逃げたという話があるが、その時大きなタンスを見て「これを持てるだろうか」とは考えない。考えたら、絶対に持てない。
しかし、普通は必ず先を占う。出来るかどうか、予測を立てる事が人間の習い性になっている。
逆説的な言い方になるが、出来るか出来ないかを判断しようとするから出来ない。緊急時にはそんな事を言ってられない、「判断する間がないから、火事場の力が発揮出来る」のだろう。
甲野義紀(武術研究家)

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先を占う気持ち、将来を予測しようとする「頭の良さ」が、逆に人間の可能性を奪い、成長に向かうための動機を奪っているんでしょうね。賢い方がいいはずだけれど、賢いが故にダメになるというか、人間の脳は扱いが難しい。
人間脳といわれる大脳新皮質の賢さに、動物脳である旧皮質の「やりたいという気持ち」が負けない様にできる教育システムが必要なんでしょうね。

人類が持つ「知能の高さ」に負けない、情動というか感情、やる気の強さ、モチベーションの高さを保てる教育法が確立されると、ヒトは人間脳に負けない、未来を憂う事なく挑戦できるメンタルの強さを身に付けられるのかもしれないなと思います。

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