男女の脳はセッティングが異なる
脳科学・人工知能研究者である黒川伊保子さんの著書「キレる女 懲りない男」より抜粋です。この方の本、とても勉強になるのでよく読むのですが、これは「脳の性差」、について書かれた本。
男女の脳は違う、いや違わない」という論争がありますが、「基本的な構造は同じだけれど、セッティングが違うのだ」というのが、黒川さんの立場。
これ、僕は凄く分かる気がします。同じエンジンでもセッティングを変えると全くクセが違うというのと同じですよね。ピアノなど楽器でも一緒でしょうね。
【始めに――脳のトリセツ】
人間の性質を、脳という装置の回路特性である、と見る。それが、人工知能エンジニアとして脳を見つめてきた私の研究立場である。人間の心の在り様を、脳の回路特性として見る事は、一見殺伐ししている様だが、これがなかなか楽しいのだ。
「宿題もせずにだらだらする息子」と見れば腹が立つが、「この装置、どうメンテナンスしたら、だらだらしない様になるんだろう」と考えれば、腹も立たない。「思いやりのない夫」と思えば傷つくが、「男性脳には、察する機能はついていない。それは特別なオプション機能なのだ」と知れば、傷もつかない。
装置として見立てると、男女の脳は、回路の形と信号特性が違う。当然、同じ入力に対して、全く違う出力を見る。つまり、女が期待した様になんか、男の脳は働かない。逆もまた真なり、だ。
違う装置なのだから、使用法も違う。なのに、奥の大人達が異性の脳を、自分の脳と同じ様に扱おうとしてストレスを作り出している。それはまるで「オーブントースターにふっくらご飯を炊く事を期待しては、がっかりしている」様に見える。オーブントースターには、オーブントースターの使い方がある。男性脳には男性脳の使い方、女性脳には女性脳の使い方がある。