鮮度が落ちる前にぶっちぎる!

昔、書いてたブログより転載。

この本を書かれたのは料理人の方なんですけど、食材と一緒で、確かに人間にも「鮮度」ってある気がしますね。

「若さという勢い」というのか、「自分が持つ新鮮な気持ちが落ちてしまう前に、一気に壁を破って突き抜ける」という感覚は大切だろうなと思います。人間の気持ちって、ある時急にしぼんだりする事もあるから、勢いって凄く大事ですよね。

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今、料理人の生活を若い頃から繰り返すかと訊かれたとしたら、正直なところ、ちょっと勘弁して下さい、と思う面もあるのです。

しかし、若い頃はその辛さが何だか分からないから、怖いけどやれちゃいますよね。分からないが故にやれちゃう。若さの素晴らしさって、きっとそういう「余り分かっていない」という事ですよ。

怖さを感じても、若い人は分からないまま突っ走る。いつの間にかやり遂げてしまう。

だから、若さというものは、大事にしないと勿体ない。

本当の「なまもの」という気がします。

本人には自覚がないと思うけれども、端で見ていると勿体無くって。「一ミリもムダに擦るなよ。鮮度落とすなよ」って言いたいぐらい。だんだん鮮度が落ちていくのを見るのは辛いものです。

輝きは一瞬だし、愛されるのも一瞬・・・人間も食材も、時間が経つと物凄く様子が変わりますよね。一番いい一瞬を皆が大切にするといいなぁと思う。

若い人は社会の中枢まで行く可能性がいくらでもありますよね。どれだけ自分の特質を生かせるのかはまだ知らない。作為もない。

「その白紙の状態のまま、ぶっちぎって行きな」

「汚染されないで、思うまま行ってしまえ!」

そんな風に思います。

「調理場という戦場」

斉須 政雄 (フランス料理「コート・ドール」オーナーシェフ)

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