人の目があった方がラク

とてもいい記事を読んだので、紹介します。芸能界には、あんまり興味ないんですけど、どんな世界でもこうして長く残っていける人は人知れず地味な努力をし続けているのだと思う。

たまたま目について軽い気持ちで読んだ記事ですが、思っていた以上に、心に突き刺さる部分がありましたし、郷さんの生き様に感動しました。

もっと自分に対して厳しく在りたいと思わされましたし、こういった誰かの影の部分から、何大切な何かを学べる人間で在りたいなと思います。

ーーーーー

1つの山に登ったら、次の山に向かって坂を降りる。その繰り返しが、僕の人生

頂上の景色を満喫したりはしない

──自分で自分を褒めることはないのですか?

郷:人から褒めていただけることはありがたい。でも、よい部分は追求しなくていい、よくない部分を伸ばしていくというか。失敗した部分をどうリカバーしていけばいいのか、そういうところへつねに目が向いています。

1つの山を登っても、それまでの道のりを振り返ったり、頂上の景色を満喫したりはしない。登りきった段階で、次の山に向かって坂を降りていく。その繰り返しが、僕の人生なのかなって思います。

──郷さんは、つねに新しいものにアンテナを張り巡らせているという話を聞きます。

郷:新しいものだからといって、なんでも取り入れるわけではないですよ。次に何をするべきかを考えると、自然に必要なものが見えてきて、それを試みているだけです。自分は、できにくいことに挑戦したいタイプ。

──できにくいと言えば、50代のときに利き手を右から左に変更されたそうですね?

郷:(笑)。ずいぶん長い間、右手しか使っていないことに気づき、バランスを取ろうと思って、箸を使うときや歯磨きなど、日常的に行うことを変えてみました。

──そのことで、生活や価値観に変化はありましたか?

郷:何も変化はなかったですね(笑)。でも10年以上続けていたら、左でないと居心地の悪いことが増えてきました。たとえば、趣味であるゴルフのティーアップの調整は、左じゃないと落ち着かないですしね。

──また、40代で無期限の活動休止をして、ヴォーカル・レッスンをされていましたね。

郷:40代に入って「GOLDFINGER’99」をリリースして以降、自分に足りないものは何かを考えるようになって。それを埋めないと、50代以降も歌い続けることが厳しくなると思うようになりました。だから、期限を設定せずに自分の満足のいく状態に到達するまで、活動を休止することにしました。それで結果的に3年という時間がかかったのですが。

──その3年間で得たものは大きかったのではないでしょうか?

郷:本当に自分の身につけたいテクニックを習得できた気がします。欲しいと思うものを手に入れるためには、必ず何かを犠牲にしなくてはならないということを学びましたね。何かを始めることに年齢は関係ない。やる気があるかないかの問題だと思いました。

「変わらない」と言われるのは、実は「変わり続けている」から

──40、50代になると、それまでの経験もあり、新しいことに挑戦するのを躊躇しがちです。

郷:変えることは大変です。引っ越しですら煩わしいことばかりなのに、自分を変えるなんてなおさら。でも、振り返ると僕はつねに自分を変えてきた。周囲からは「変わらない」と言われることもあるのですが、実は「変わり続けている」からこそ、そう感じていただいているのだと思う。時代は刻々と変化していく。そのなかで変わらずにいるほうが「変わった」ように見られるのでは?

──「変わらない」と時代に取り残されてしまうのですね?

郷:時代は昭和から平成、そして令和へ、またアナログからデジタルへと変化していく現状に、僕は必死にしがみついているのです。その姿勢は、ずっと変わらない。逆に、“あの頃”にとどまったままだと「変わり者」と評価されてしまうと思います。

──なるほど。

郷:僕は運動を定期的にしているのですが、そこで学んだことが多いですね。人間は年齢を重ねると水分量が減ってしまい、体が硬くなり、けがなどをしやすくなる。体と同様に精神も柔軟性が大切なのではと。変化を恐れない気持ちも鍛えることができたのかなって。

週3のトレーニングと食事管理

──どういう運動をされてますか?

郷:主にトレーニングですね。週に3回は必ず。

──インスタグラムでは「#ボクトレ」でフィットネス動画を投稿されて、話題ですよね。

郷:実際に、僕がやっているメニューはかなりハードで、トレーナーさんから「同じ年代の人では無理」と言われるものなのですけど。そこでは、皆さんでも簡単に続けられるものを紹介していますね。

──トレーニングは週3が理想ですか?

郷:僕の場合は、ですよ。あまりにもムキムキになってしまうと、衣装が似合わなくなるので(笑)。20〜30代の頃は、今のようにジムも少なかったし、メニューを考えてくれるトレーナーさんの数も少なかったこともあり、ただやみくもに鍛えていただけでしたが(笑)。ちなみに、当時は珍しがられましたが、サプリメントもアメリカで購入して摂取していました。

──そうすると食事の管理も当時から?

郷:20代の頃は、エネルギーの消費量がすごいですからね。どんなものを食べても消化できるので、何も考えていなかったかも。そもそもトレーニングは、きれいな体になりたいとか、モテたいとか、そういう不純な目的で始めたものなので(笑)。

──郷さんがモテたいとは(笑)! 今はどんな食事管理をされていますか?

郷:トレーニングを続けるうちにいつの間にか、体のことを考え始めて、遅い時間に食事をしないとか、暴飲暴食をしないとかになりましたね。

──糖質とか脂質とか、気にされない?

郷:気にしないというか、今では目にしたり、口にした瞬間にどれくらいのカロリーがあるかがわかる。体重も、増減は感覚でわかるようになってきました。

──郷さんはとても美肌ですが、美容に関してはいかがですか?

郷:実は全然気にしていないんです(苦笑)。自分の生き方が、自然と見た目にも影響すると思っているので、つねに前向きでいることが、美容の秘訣なのかもしれないですね。僕は、嫌なことがあっても「しょうがない」と忘れるタイプ。起こったことを引きずるよりも「こんなこともあるんだ」と切り替えたほうがいいのかなって。

プライベートでも「郷ひろみ」でいたい

──ストレスは感じないのですか?

郷:僕は怒ったこともないですからね。ストレスを感じないのですよ。

──ひとりになって、悶々とすることはないのですか?

郷:逆にひとりでいるほうがつらい。周囲の目があるほうが楽なのです。だって、視線があれば簡単に自分を「郷ひろみ」にすることができるから。ひとりのときは、もうひとりの自分が「これでいいのか?」と問いかけてきそうな気がして嫌なんですよ。だから、プライベートでも「郷ひろみ」でいたい。自分には、それがいちばん合っていると思います。

──つねに「エンターテイナー」でありたいと。

郷:でも、10代の頃はそういう気持ちにはなれなかったですね。たくさんの「つまずき」を経験して、ようやくたどり着いた境地というか。ただ、この生き方を皆さんに強要するつもりはないですよ。それぞれに異なる境遇があって、それぞれに正解の生き方があるから。

──これから、どんな年齢の重ね方をされたいですか?

郷:向かっていく道は漠然とは見えています。自分のなかでの「郷ひろみ」はとても魅力的な存在で、それに近づこう、遅れたくないとつねに思いながら活動をしている。そのためには、今後も変化を恐れてはいけない。でも、40代のヴォーカル修行で、3年かけてようやく自分が望む変化を得られたように、変化や進化はすぐに手に入れられるものではない。

たとえ思うような進化を遂げられなくても、日々1歩ずつ前進しようという気持ち。それを大切にしながら活動を続けたいですね。

ーーーーー

「人の目があった方がラク」というのは、ちょっと衝撃的というか、とてもためになりました。

確かに、一人で部屋で仕事しているより、カフェでやってる方がはかどる」とかも同じですね。学生なら図書館や自習室でやるのも同じやし、トレーニングジムに通ったら嫌でも運動するのも同じやな。

人間は一人で、全く他者の目がない時って、迷いも怠け心も出てしまう弱い生き物。

そして、「自分のなかでの『郷ひろみ』」という理想像というか、自分自身を客観視して、「今の自分」を「理想の自分」近付け、重ね合わせる作業を毎日してはるんでしょうね。

これ、宗教や心理学で行う作業と同じ。メタ認知をだれだけ出来るか?

若い頃から、人の目に晒され続けて到達した境地なんでしょうね。

よく「人の目がしんどい」っていう人がいるけど、逆なんですね、「人の目がある方がラク」。

これから、指導の際に使わせて貰おうと思います。

Follow me!