評価の呪縛から解き放たれる

稲垣えみさん。以前、本を読んで凄く面白くて印象に残っている方なのですが、この対談も良かったです。

幼い頃から、他者との競争に追われ、そして他者からの評価に晒され続ける現代社会ですが、ここから抜け出せると見える景色が全く違ってくると思います。このコロナ禍は、大変な時期でもあるけれど、今までの価値観から解放されるチャンスでもある様な気がしますね~。

稲垣えみ子&堀井美香 50歳で会社を辞めるという決断 より抜粋して紹介します、

稲垣 私もそうだったと思います。『魂の退社』(東洋経済新報社)にも書いたんですが、特に最後の数年は、もう辞めるって決めていたので、評価の呪縛から解き放たれて、すごく強気にやりたい仕事ができるようになったんです。「私はこれをやります。あ、もしダメならなんなら明日クビにしていただいてもいいんで!」みたいな(笑)。

 将来を考えない人間の強さみたいなものを、我ながら感じましたね。自分でやると決めたからには、誰がなんと言おうがとにかく前を向いてやるんだと。説得や裏工作もなんでもやったし、あの頃が仕事が一番面白かったです。そうしたら結果的に、辞めると決めてからのほうが評価も上がったりして。一生懸命会社に自分を合わせようとしていたときは全然評価されなかったのに(笑)

稲垣さんの最新刊『老後とピアノ』(ポプラ社)に、ピアノ好きの堀井さんが感銘を受けたことから今回の対談が実現。共に50歳で大企業を辞めた2人のトークは大いに盛り上がりました

「選択肢のカード」はたくさんあると強くなれる

堀井 分かります。自分でこっそり選択肢のカードを持っていると、強くなれますよね。

稲垣 そうそう!

堀井 カードを持っていると、会社に不満を持たずに戦える。「私、実はこれ持っているし。なんなら、カード引きますか……?」みたいに1人で駆け引きしたり(笑)。

稲垣 うまくいかないことを「こいつのせいで!」とか、無駄な被害者意識を抱えることもなくなりますよね。ところで、堀井さん、退社のカードは何年くらい持っていたんですか?

堀井 私の場合は虎視眈々(たんたん)と準備していたというより、いつの間にか懐にカードがたまっていた感じでした。正直、会社に対して不服を感じることもなかったですし、辞めると決めたときに自分の中にたまっている選択肢を整理した感じでした。その間、1年にも満たないです。

稲垣 じゃあ、かなり短期間でズバッと決めたんですね。すごいなぁ。

堀井 いえいえ。無難な辞め方というか……。

稲垣 私は一般の会社員なので「辞めたら当面は無職」と覚悟していましたし、会社員時代は行けなかった長期旅行とかも自由にしたかったので定職にも就きたくなかったんです。だから、できるだけ少ないお金で生きていくことを前提に、10年かけて準備をしていました。

堀井 私はそこまで自分に自信がないし、応用が利かない不器用なタイプ。夏休みの宿題もすぐにやらないと安心して遊べない子どもだったので(笑)。だから、辞めた後の仕事の計画は必須でした。

稲垣 なるほど、私と堀井さんでは備え方の種類が違うんですよね。自分に合った備え方を見つけることが大事だし、50歳前後はそれを見極める知恵もあるという点でいいですよね。あら、編集部の方が……何でしょう?

編集部 稲垣さんの退社が「魂の退社」だとすると、堀井さんの退社はなんと表現しますか?

稲垣 え、そんな質問!?(笑)。実はあのタイトル、出版社からたまたまデザインの見本として見せられたビジネス本が『魂の経営』で、高名な経営者に対抗するパロディーという感じで付けただけなんですよ。だから大した意味はないのに、堀井さん、ごめんなさい。

堀井 決まりました!

稲垣 え?

堀井 「一旦退社」にします。

稲垣 一旦退社! それいい!

堀井 実際、翌日からまたTBSに出社しましたし、もしかしたら本当に出戻りするかもしれないので(笑)。それくらい気負わずに決めてもいいのかなって提案も込めました。

稲垣 確かに退社ってことを大げさに考え過ぎるのもよくないかも。後戻りだってなんぼでもできると思えば一歩が踏み出せますよね。いいなあ。ぜひ、はやらせましょう。

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